大相撲小言場所


平成二十一年九州場所展望〜千代大海発言について〜

 大関千代大海が「負け越して大関から陥落しても引退しない」という主旨の発言をし、それに対して朝青龍が「弱気になるな」というコメントを出した。
 朝青龍がどういう思いでそういう発言をしたのかはわからないが、千代大海は自分の現在の力では大関を維持できないとやっと観念したのだろう。正直なところ、ここ数年の千代大海は優勝争いに残ることもなく、前半勝ちこんでも後半息切れし、勝ち越しても8勝がやっとというありさまだ。2場所連続負け越さないと大関からは陥落しないという特権をフルに活用してさの座を維持してきたという印象が強い。
 先場所は勝ち越す自信があったのに大幅に負け越してしまった。そのためか自信を失っているのだろう。しかし、8勝がやっとという事態は大関としては非常に問題があるとは考えてはいなかったのかもしれない。
 今場所大関から陥落し、来場所に大関に再昇進できる10勝があげられなければ引退も考える、とのこと。
 霧島や小錦のことを思い出す。力が落ちたら地位にしがみつかずにすっと陥落し、それから先は若手の関門というようなポジションで存在感を示していた。
 そこまでしろとは言わないが、今回の千代大海の発言を聞いていると、彼の相撲についてのよりどころは大関という地位にしかないかのようだ。それ以上の相撲に対する熱意などはすでに消耗しきっていたということなのだろう。
 問題はそんな大関でも倒せずにいる若手力士たちのふがいなさ。今場所は誰かが千代大海に引導を渡すくらいの気持ちで活躍をしてほしいものである。

(2009年11月14日記)


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