各種表彰の辞退、NHK中継の中止、懸賞金の激減など異常な形で行われた名古屋場所に対し、今場所は一応通常の形体に戻ったといえる。とはいえ、武蔵川前理事長の辞任、外部理事長にするのかこれまで通り親方を理事長にするのかという議論の末に元大関魁傑の放駒親方が新理事長に選任されたり、松谷ら新たな謹慎者が出たりと、まだまだ土俵外は落ち着かない。
初日の理事長あいさつで、放駒理事長はまず謝罪の言葉を述べ、改革に強化委員一丸となるという決意を披露した。これが口先だけのものにならないことを祈るのみ。
さて、土俵上に目を移すと、白鵬が47連勝で名古屋場所を終え、連勝記録をどこまで伸ばすかが今場所の焦点になるだろう。こと優勝争いということにおいては、白鵬以外の力士が優勝しそうな感じがしないので、連勝記録が焦点にならざるを得ない。
序盤から当たるのは小結以下の力士たち。ということは、千代の富士の記録である53連勝は6日目に並ぶ勘定になる。もし白鵬に土をつけるとしたら、把瑠都や琴欧洲、日馬富士あたりの大関陣だろうから、連勝記録が60まで伸びるかどうかというところに注目した方がいいかもしれない。
さて、次に注目したいのは名古屋場所で謹慎となり大きく番付を下げた力士たちだ。豪栄道、豊ノ島、雅山らが反省していることをファンに示すには、毎日死に物狂いの熱戦を繰り広げること以外にないだろう。また、彼らのおかげ(?)で幕内や十両に大きく番付を上げた力士たちが、この運を実力に変えるような相撲を取れるかも見ものだ。
先場所は多くのメディアや相撲にふだん関心のない層までが注目する場所だった。しかし、今場所は、長年の相撲ファンたちがメディアに左右されることなく協会の真価を問う場所となるだろう。
博打にうつつを抜かさなければこんなにいい相撲が取れるんだというところをぜひ見せてほしい。
(2010年9月12日記)