大相撲小言場所


平成二十三年初場所展望〜出そろうか次期大関候補〜

 白鵬の連勝記録はとぎれたが、連続優勝の記録ははまだ続いている。今場所は大鵬の6連覇に並ぼうかというところ。連勝記録を止めた稀勢の里のように、誰かが意地を見せてくれるか。意地だけでは勝てないのだけれど、「心技体」というようにメンタル面は相撲では最も大事な要素といえるから、やはり意地を見せるくらいの気持ちで他の力士たちには奮起してもらいたいところ。でないと土俵が盛り上がらない。
 それとは別に興味深いのは、そろそろ次期大関候補が絞られてきたかなというあたりで、今場所活躍した力士にチャンスがめぐってきそうなことですね。
 具体的に名前をあげると、稀勢の里、鶴竜、豊ノ島、栃煌山の4名。この中から誰が一皮むけるか、である。可能性としては、白鵬の連勝記録を止めた稀勢の里が第一候補か。こういう大仕事が自信につながり、それをきっかけにめきめきと力をつけていくという例は過去にも多くある。これまで期待を裏切られてはきたけれど、今度は今までとは一味違う成長を見せてくれるかも。第二候補は豊ノ島。謹慎明けから2場所連続の14勝と、相撲にかける執念が明らかに変化してきている。汚名をすすぐためには相撲に真摯に取り組むことだという意志がはっきりと見える。これまでは十両や幕内下位で白星を重ねたが、今場所は上位との対戦が中心となる。謹慎前も上位に対して結果を残してきた実績があるだけに、このまま勢いを保ち続ける可能性は高そうだ。続いては鶴竜と栃煌山。この2人にはまだ勢いやきっかけが訪れていない。今は地道に地力をつけ、どこかできっかけをつかんだ時に勢いをつけられるようになってほしい。稀勢の里と豊ノ島との差はけっこう大きいと思う。
 魁皇が先場所のように勝ち続けるのは難しかろうし、把瑠都はまだ粗削り。日馬富士は故障を治してから、という状態で、琴欧洲は……「心」の部分でひ弱さを感じる。そろそろ大関から一気に横綱に駆け上がり白鵬のライバルになる力士がほしいところだ。
 今場所はそんなところに注目しながら見ていきたい。

 元関脇土佐ノ海が引退。若い頃は鋭い出足で一気に突っ走る相撲で武双山の好敵手だったが、ついに力尽きた。その取り口から「柏戸」の襲名も取りざたされた逸材であったが、晩年は怪我に泣き引き技でバッタリという相撲も多かった。しかし、立ち合いの時に「うあおうっ!」と声を出す気合満点の相撲は、名脇役として若貴、曙、武蔵丸の時代を飾ったものだ。同志社大の校章の入った化粧まわしも京都出身の私としては印象深い。今後は立川親方として後進の指導にあたるが、いずれは名門伊勢ノ海部屋を継承して「柏戸」の名にふさわしい力士を育ててほしい。
 長い間、お疲れ様でした。 

(2011年1月7日記)


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