大相撲小言場所


平成二十三年九州場所展望〜稀勢の里に試練、大関昇進なるか〜

 場所前に鳴戸親方が急死した。それ以前に「週刊新潮」による「告発」があり、部屋内での暴力事件や隆の山の体重増加を狙いインスリン注射を打たせたという疑惑(これは親方自身が認める)などで稀勢の里はどれだけ稽古に集中できたか。今場所に大関昇進を賭ける稀勢の里としては、本場所に入ってどれだけ集中力を高められるか、相撲ファンとしては気になるところである。
 新大関琴奨菊は、これは新大関の場所ならではの過密日程で先場所のような活躍は期待してはいけない。それだけに稀勢の里が場所を盛り上げてほしいのだが、果たして弔い合戦の域に達することができるか。師匠の急逝に思うところは多々あるだろう。なにもなければ実力的には大関昇進確実なだけに、今場所はまさに試練の場所となろう。この試練を乗り越えて大関昇進ということになれば、これほどドラマチックなことはない。
 優勝争いの最右翼はむろん白鵬。先場所は稀勢の里や琴奨菊に苦杯をなめただけに、特に稀勢の里への「壁」となりたいところだろう。把瑠都もそろそろ本気を出して行きたい。日馬富士は精神的なもろさを先場所露呈したが、横綱のかからない今場所はのびのびと自分の相撲が取れるのではないか。
 カド番の琴欧洲については、同部屋の琴奨菊の活躍に触発されてほしいところだ。このままズルズルと落ちていくにはもったいない。
 関脇以下では新三役の豊真将や、実力者豊ノ島、じょじょに地力をつけてきた栃煌山と豪栄道、そして新進の高安らに期待がかかる。
 テレビ中継ではBS1のサブチャンネルで幕下以下の力士の相撲が放送されるようになる。ここ数場所、下の力士の相撲を見ることが不可能になっていただけに、これはファンとしては朗報。相撲ファンの層を厚くしていくためにも、幕下以下の力士から期待の星を探すというような楽しみ方ができるBSの中継は非常によかっただけに、この放送再開は喜ばしい。
 さあ、新大関誕生なるか。楽しみにしている。
 

(2011年11月12日記)


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