大相撲小言場所


平成二十四年夏場所展望〜新大関鶴竜誕生〜

 史上初の六大関時代に突入した。対して横綱は1名。つまり、大関には上がれても横綱になるためには白鵬の壁をはねのけて2場所連続して優勝しなければならず、これは至難の業であるということである。新大関の鶴竜も含めて、その壁を誰がいかにして突破するか。白鵬はここ数場所をみると一時の完璧さはなく、うまく崩していけば連覇は不可能ではなくなってきた。
 さて、新大関鶴竜である。これまでは一つ負けると考えこんでしまうところがあり、それが大勝するのを阻んでいた。しかし、ここ数場所は切り替えがうまくなり一つ負けても連敗しないようになった。それが大関昇進につながったといえる。
 もともと相撲のうまさには定評があり、そこに力強さが加わった。強引な相撲を取ることもない。先輩5大関のいずれもが強引にいってしまうところがあるだけに、6大関の中では最も安定感のある大関になる可能性がある。夏場所は新大関のプレッシャーもあり、即優勝ということは難しいだろうが、琴奨菊も稀勢の里もぶつかった2場所目の壁はそれほど感じられないかもしれない。
 優勝争いの筆頭はやはり白鵬だろう。一時の無敵な感じはないけれど、持病の腰痛さえ出なければ安定感のある相撲を取ることは間違いない。続くのは稀勢の里か把瑠都。琴奨菊と琴欧洲、日馬富士は日によって相撲の調子が変わることが多いので、そのムラを出さないようにしていければ優勝争いに割りこむことは可能だろうが。
 6大関の中から誰が横綱になれるか、今場所はそれを占う場所になりそうな気がする。そのためにもまずは優勝すること。白鵬の壁は、なんだかんだいいながらまだまだ高い。

 元小結の垣添が引退。とにかく突貫あるのみ。ただ、そのために立ち合いが相手と合わなかったり、横に動かれて簡単に負けることも多かった。それでもその個性派としての存在感は大きかった。晩年は幕下でも勝てず、それでも突貫を貫く姿にはすがすがしさを感じた。今後は年寄りとして後進の指導にあたる。個性派の力士を多く育てていってもらいたい。お疲れ様でした。
 

(2012年5月5日記)


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