大相撲小言場所


平成二十五年初場所展望〜進退かかる? 日馬富士〜

 先場所新横綱として期待された日馬富士が9勝6敗に終わると、横綱審議委員会の委員たちはボロカスになじり、「来場所もこのような成績だと引退」と公言した人物もいた。二場所連続全勝という輝かしい記録で昇進した時はあれだけ絶賛していた人たちが、である。
 長年相撲を見続けてきた好角家たちの集まりとは思えない。一場所ごとの成績でとやかく言うだけなら、誰にでもできる。その道ではトップに立つ人たちが、二場所連続全勝などというすごいことをしている間の緊張感や、そこから解放された時の反動などについて理解できないとは思えないのだが。
 先場所の日馬富士は、途中までは優勝争いにからんでいた。しかし、取りこぼしのあとは、悪い時の相撲に完全に戻ってしまった。元来が気力で小兵のハンディキャップを補ってきた力士である。優勝争いから脱落してしまってこの半年近く保ってきた気力が持続できなくなったのはいたしかたないだろう。
 今場所の日馬富士には、その点では期待したい。気持ちがリセットされ、一から出直すという形になれば、横綱昇進前までのレベルまではいかずとも、かなり高いモチベーションで土俵に上がってこられるだろうからだ。
 それに対するのは、むろん白鵬である。北の湖、朝青龍の優勝回数にもう少しで到達する。目標が間近に見えてきた時、人の出せる力はかなり大きなものとなる。先々場所までの屈辱を晴らせたことからくる余裕と、近づいてきた目標が、白鵬に力を与えることは間違いない。
 ここにからんでほしいのが稀勢の里である。ムラっ気さえなくせば、とても強い力士なのだが。優勝争いにからんでほしいのは豪栄道もその一人。今場所の成績いかんでは、来場所に大関昇進を賭けることができる。今場所は無欲で自分の相撲をとり切ってほしい。そうすれば、成績はあとからついてくる。
 大関から陥落した把瑠都が、救済措置の陥落場所での10勝をあげられるかも注目だ。故障さえなければ、まさに怪物。守勢に回れば膝への負担が大きくなるだろうから、ひたすら前に出る相撲に徹したら、横綱大関陣を脅かす存在になるだろう。
 今場所は両横綱と稀勢の里による激しい優勝争いを見られるものと期待している。
 

(2013年1月12日記)


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