大相撲小言場所


平成二十六年九州場所展望〜白鵬は大鵬に並ぶか〜

 いよいよ白鵬が32回目の優勝を目前としている。今場所優勝すれば、大鵬の記録と並ぶことになる。双葉山の連勝記録に挑戦した時は「聖域を自分がおかしていのか」というような思いもあったようだが、今場所前のインタビューの映像を見ると、そういう気負いのようなものは感じられない。これはおそらく大鵬本人に教えを請うたりして、畏敬の念とは違う尊敬を抱いているからなのではないかと思う。
 それを一場所でも遅らせようという気概のある力士が出てくれないものかと思うのだが、先場所あたりを見ても止められる力士がいそうにないのが実情だろう。
 かつて千代の富士の連勝記録を止めた大乃国が記者の取材に対して「俺も横綱だ」と答えたのは名セリフとして現在も残っているけれど、鶴竜や日馬富士がそういう言葉を口にできるか。日馬富士は顔面の骨折からの復帰場所ということもあり、序盤から勢いをつけられるかどうか不安である。鶴竜は格下相手への引き技が目立つ。横綱に昇進した頃のひたむきな前に出る相撲をまた見せてくれれば期待もできるのだが。
 大関陣はどうだろう。稀勢の里は部屋継承問題以降、気力がなくなったような相撲が多い。ここから横綱に昇進してやろうという思いが相撲からは伝わってこない。琴奨菊はまだ完全に怪我から回復していないような感じがする。ひょっとしたらと思わせるのは豪栄道だが、どの力士にも白鵬戦のような速攻を見せられれば可能性はある。
 新関脇の逸ノ城。巡業を帯状疱疹でリタイアしたりと、一番大事な時期に稽古に専念できなかった。上位陣も研究してくるだろうから、先場所のようにはいくまい。
 こう考えて見ると、白鵬の32回目の優勝は確実のように思われる。
 ただ、本場所ばかりは始まってみないとわからない。旭天鵬の初優勝の時のようなハプニングが起こらないと誰が言えるだろうか。
 とにかく白鵬の独走ではなく、最後まで優勝争いがもつれる展開を期待したい。
 

(2014年11月8日記)


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