大相撲小言場所


九州場所をふりかえって〜白鵬ついに大鵬に並ぶ〜

 白鵬が14勝1敗で堂々の優勝。32回目の優勝を飾り、大鵬の優勝回数に並んだ。6日目、高安の引きについていけず前に落ちた不覚の一番、11日目の豪栄道の押しに土俵際辛うじて残って叩きこんだ一番を除いては、力の差を見せつけての優勝だった。千秋楽、2敗の鶴竜を寄り切った相撲の集中力など、よほど大きなけがでもなければまだまだ優勝回数をのばしていくだろう。
 優勝争いを引っ張ったのは鶴竜だった。しかし11日目の稀勢の里戦で乾杯すると、白星をほしがって12日目の豪栄道戦では立ち合いに変化。13日目はその影響もあってか立ち合いが中途半端になり日馬富士に一気に持っていかれた。目先の白星に目がくらみ、優勝という大きな目標を逃してしまう結果となった。来場所はこれを良薬として、白鵬の前に立ちはだかってほしいものだ。
 優勝争いにからんだのは再入幕の栃ノ心。幕下から4場所連続の各段優勝を果たしての再入幕で、好成績が期待されたが、みごとその期待にこたえた。敗れはしたものの十両時代に連勝している逸ノ城との大相撲は今場所もっとも見ごたえのある相撲だった。敢闘賞を受賞。技能賞を受賞してもよいのではという内容のある相撲を取った。
 途中まで優勝争いについていったのが40再の旭天鵬。終盤の4連敗で脱落したが、なんというのか味のある相撲で連日館内を沸かせた。史上初の40台での三賞となる敢闘賞を受賞。
 三賞では、白鵬と日馬富士を破って2つの金星をあげた高安が殊勲賞。今場所は立ち合いから思い切りのよい相撲が続き、白鵬戦での勝利も決して偶然ではなかった。
 三賞は逃したが、遠藤が後半8連勝して10勝をあげ、久々の勝ち越し。連勝し出してからは入幕当時のうまくて速い相撲を見せてくれた。稽古不足ではないかと気になる部分もあるが、これをきっかけに巡業ではしっかり稽古して来年につなげていってほしい。
 逸ノ城は新三役で苦しい場所となったが、大瀬稀勢の里を真正面から寄り切って勝ち越し。大器の片りんを見せた。まだ土俵際での逆転相撲など器用さが目立つところがあるが、相手十分に組まれてもびくともしない重さは脅威。来年の飛躍が期待できる場所だった。
 出場さえ危ぶまれていた横綱日馬富士。序盤の連敗で不安を抱かせたが、中盤は出足が冴えて持ち直し、11勝したのは立派。顔面の骨折で怖さもあるだろうが、それでも強い立ち合いを心掛けているのが良くわかった。大関稀勢の里も11勝。しかし、弱い稀勢の里と強い稀勢の里の落差が激しく、期待を裏切りながらもなおも期待させるという本領(?)はみごとに発揮。しかし、これでは打倒白鵬はまたも遠のいたという感じがする場所だった。
 豪栄道と琴奨菊はともに負け越し。豪栄道は初日からなんだか焦ったような相撲で連敗。最後までこの連敗を引きずってしまった。琴奨菊はそろそろ限界かと思われる負けが目立った。故障が完治しない限り、元の相撲には戻れないのか。売り物のがぶり寄りが出ないのでは来場所も苦しかろう。
 十両ではベテラン時天空が優勝。さすがに下に落ちると格の違いを見せてくれた。その時天空に食らいついていった新十両の輝の思い切りのよい相撲も今後が楽しみだ。輝の兄弟子で怪我で序ノ口まで落ちた竜電が先場所に続いて序二段優勝。このまま来年は一気に再十両に向けて駆け上がってほしい。怪我さえなければ、豪栄道よりも将来を期待されていた力士なのだから。
 とにかく今場所は白鵬の32回目の優勝、それに尽きる。北の湖理事長も、解説の北の富士さんも「優勝40回はできるだろう」と予測。今場所はまだ通過点に過ぎないのだろうか。

(2014年11月23日記)


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