大相撲小言場所


平成二十七年九州場所展望〜休場明けの横綱〜

 先場所休場した白鵬と日馬富士の両横綱が、今場所は出場する。休場明けの横綱で強かったのは千代の富士だった。ひと場所しっかりと休養し、力を蓄えて出場し優勝するということがよくあった。白鵬の右膝の回復具合はよくわからないが、巡業を半分休んで療養に専念したところをみると、力をしっかり蓄えて出場したと考えていい。日馬富士はこれまで無理をしては途中休場を繰り返してきたが、先場所は全休。こちらも療養をしっかりしたといえよう。少なくとも初日の相撲を見ると、両横綱とも満を持しての出場という感じだ。
 両横綱の休場で先場所は一人横綱となった鶴竜の連覇はどうだろうか。序盤戦をしっかりと切り抜ければ、それなりの成績は残せるだろうが、果たして先場所の優勝が自信につながっているかどうか。立ち合いの変化で勝ち星を手に入れた相撲もある。千秋楽は相手の照ノ富士が右ひざを痛めているということで本割に油断して決定戦に持ちこまれた。連覇は難しいと見る。
 ただ、休場明けの両横綱も本場所の土俵から少し離れていたため、勝負勘を戻すのに序盤戦は苦労する可能性もあり、稀勢の里あたりにもチャンスはあるとみたい。ただし、稀勢の里は序盤の取りこぼしが多いので、両横綱が本調子になる前に同じように取りこぼしをしたりすれば、今場所も「惜しかった」で終わる可能性も高いのだが。
 心配なのは照ノ富士で、先場所痛めた右膝はまだ万全ではないようだ。負傷が慢性的になった場合、把瑠都のように若くしての引退につながる恐れもある。本人も師匠もなんとかなると判断しての出場なのだろうが、とにかく攻める相撲をとり続けるしかない。下手に右膝で踏ん張って故障個所をさらに傷めることがないようにしてほしい。
 ここまで3場所連続で二ケタ勝利をあげ三役に復帰した嘉風が、今場所もその勢いをとどめていれば、台風の目としてファンを楽しませてくれることだろう。新入幕の御嶽海の思い切りのよい相撲と並んで期待したい。
 今場所はとにかく休場明けの両横綱次第。果たしてどのような展開になるのか、楽しみである。
 

(2015年11月8日記)


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