大相撲小言場所


平成二十八年初場所展望〜本命なき優勝争い〜

 先場所優勝の日馬富士が連覇を狙う場所になるが、左膝の蜂窩織炎(ほうかしきえん)のために年明けに入院するなど稽古量が十分でなく、場所前に患部を切開して膿を出したりと病気も完治はしていない模様だ。先場所のようなスピード感のある相撲が取れるかどうか。
 となると、優勝争いの本命は白鵬ということになるだろうが、こちらも古傷の左肘が万全ではないようだ。また、先場所は大技のやぐら投げで勝ったものの、隠岐の海には土俵際まで寄られ、栃煌山の鋭い立ち合いを避けるために猫だましから変化という立ち合いを見せたり、終盤スタミナ切れのように3連敗して優勝を逃したりと、全盛時のような強さはなくなってきている。特に終盤のスタミナ切れは、休場明けだからか衰えからくるものか、判断がつきかねる。今場所、どちらかはっきりするのではないか。
 鶴竜も肩の故障が癒えたわけではないようだ。先場所は勝った相撲と負けた相撲の内容の差が大きかった。変化したところを疲れるケースもあり、優勝本命には推しにくい。
 大関陣では、照ノ富士の膝の状況がよくなっていれば文句なく本命としたいところだが、こちらもまだ万全ではないようだ。前に出る相撲を心掛ければよいのだが、引っ張り込む悪い癖が出ると、膝の怪我がまた悪化する可能性もある。稀勢の里のムラっ気はそう簡単に治るものではないが、まわりの星次第では優勝争いの先頭に立つかもしれない。ただ、先頭に立ったらすぐに転げ落ちる事が多いので、文句なしの本命とは言い難い。豪栄道がカド番を脱したことで開き直っていい相撲をとってくれればよいのだが、勝たねばという焦りが先に立つようだとやはり今場所も苦しかろう。琴奨菊は調子に乗ればそのまま突っ走れるのだが、先場所は勝ち越してから途中休場。地位を守るのが精いっぱいか。
 大穴で新関脇の嘉風が面白い。国技館には「あげ家族」が毎日観戦に来られるから、それをパワーに変えて今場所も勢いのよい相撲を見せてくれるだろう。まわりの星次第では優勝のチャンス多いにありと見た。
 栃煌山はもう少し相手を見て立ち合うようでなければ相手の変化で星を落としそうだ。
 入幕二場所目の御嶽海、先場所波に乗った松鳳山、いずれも前に出る相撲がはまれば活躍が期待できる。新入幕の正代は十両で魅せた積極的な相撲を幕内でも見せることができるか。
 というわけで、「結局最後は白鵬」と言い切れないことで、優勝争いの本命を「この力士だ」と絞れない。言いかえれば、優勝争いが面白くなるということだ。ワンチャンスをつかめば、どの力士にも優勝の可能性がある。最後までわくわくするような展開を期待したい。
 

(2016年1月9日記)


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