大相撲小言場所


平成二十八年名古屋場所場所展望〜稀勢の里、横綱に最接近〜

 先場所、13勝に終わって惜しくも優勝を逃した稀勢の里が、今場所も横綱昇進に挑戦する。
 そのためには優勝しかない。優勝なしで横綱に昇進させた双羽黒の失敗は、協会にはまだ生々しく残っているはずだ。その時に双羽黒のライバルだった北勝海の八角親方が理事長なのだから。
 ということは、稀勢の里が横綱に昇進するためには、多少汚い相撲を取っても勝ち続けることが大事なのだということだ。立ち合いに変化しようが、張り手やかちあげで相手を脳震盪にしようが、とにかく勝って勝って優勝しなければならない。品格も何も関係ない。稀勢の里の相撲は、現在は白鵬以上に横綱相撲だと思うのだが、優勝できなかったがために大関どまりなのだ。
 参議院選挙の演説で元総理の野田佳彦さんが自民党のやり方を白鵬の相撲に例えて抗議されたが、野田さんも今の白鵬のなりふり構わず勝ちに行く相撲に対して不満を感じているのだろう。野田さんがそこまで相撲が好きとはしらなかった。
 ただ、今の白鵬の相撲については相撲ファンの中にも賛否両論あり、どんな手を使っても勝ちに行く今の相撲に不満を抱くファンは少なくない。相撲雑誌の投稿などにそれは現れている。
 だが、白鵬が通算1000勝を記録すれば、その中に含まれる立ち合いの変化やエルボードロップまがいのかちあげへの非難は表には出てこないだろう。
 稀勢の里が横綱になるには、とにかく勝つこと。すべての相撲で立ち合いに変化しても勝つこと。今の協会の姿勢からはそれが求められているのだから。あとは稀勢の里がそこまで腹をくくって土俵に上がれるか、なのだ。
 

(2016年7月9日記)


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