大相撲小言場所


平成二十九年夏場所場所展望〜高安の大関昇進なるか〜

 稀勢の里の春場所の劇的な優勝で、ますます入場券の購入が難しくなった夏場所である。ただ、その稀勢の里は春場所に負傷した個所を完治させたわけでないので、3場所連続の優勝というわけにはいかないのではないか。下半身が安定しているので、まったく勝てないということはなかろうけれど。ただ15日間ずっと安定した相撲を取り続けられるかどうか。
 先場所途中休場の白鵬も、土俵勘を取り戻すのに時間がかかるように思う。
 こういう時に強いのが日馬富士で、終盤まで取りこぼしをせずに進んでいけば、優勝の可能性は高いのではないか。鶴竜は優勝争いにからむとしても、先場所の相撲を見ても決定打不足のように思える。
 先場所稀勢の里と優勝争いをした照ノ富士については、春場所の終盤に膝の怪我をまたも悪化させたようなので、負け越さないようにするのがやっとか。カド番の豪栄道は場所前の調整もうまくいっているようなので、負け越しは避けられるのではないかと思うが、優勝争いとなると今場所はあまり期待しない方がよいだろう。
 そこで浮上してくるのが今場所に大関昇進を賭ける高安だ。10勝以上すれば大関は間違いないと言われているけれど、それ以上に相撲内容でも下位力士を圧倒するようなところを見せてもらいたい。ただ、優勝となると、横綱に対してここまでは分が悪いので、そこを克服する必要があるだろう。私は実力ではもう大関として十分やっていけるように思う。よって、さらに高いところを目指してもらいたいのだ。
 新入幕の小柳改メ豊山をはじめとする若手力士たちにも期待がかかる。特に遠藤は相撲のうまさでは非常に完成度が高いので、当たり負けをしないようにしていけば、待望の新三役も見えてくるだろう。
 今場所の主役は、私は高安であると思っている。期待してその相撲を見ていきたい。

(2017年5月13日記)


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