大相撲小言場所


平成二十九年九州場所展望〜白鵬、稀勢の里の逆襲〜

 白鵬の意気込みがすごいらしい。先場所全休をしている間に、断食を敢行して体質改善をはかり、モンゴルに帰国した際にレスリングのチャンピオンなどとの交流で知った荷重をかけてのすり足などのトレーニング方法を実行するなど、復活に賭けてこれまでにない稽古をしているという。巡業も途中からだが参加し、取り組みにも出場するなどして土俵勘を取り戻しているようだ。40回目の優勝を狙えるよう、万全の準備で九州に乗りこんできた。
 一方の稀勢の里も巡業には全日参加し、朝乃山ら若手に稽古をつけるなどして調整。昨年も優勝した力士選士権では今年も優勝し、復活へ着実に仕上げてきている。左が使えなければ右を鍛えよという貴乃花親方のアドバイスにも耳を傾け、場所前の稽古場では左からの攻めも見せたという。やはり先場所休場しカド番大関となった高安とも十分に稽古を積んでいるそうだ。
 先場所全休した両雄が、若手の勢いをはねかえすべく出場する。
 日馬富士の連続優勝は難しいかもしれない。先場所のの星取りは11勝4敗。普通の場所なら優勝できる成績ではなかった。日馬富士の場合は気力を持ち続けられるかというところにある。毎度のことながら序盤の取りこぼしだけは避けたいところだ。
 鶴竜はまたも休場。進退を初場所に賭けることになった。場所直前までかなり激しい稽古ができていただけに、故障の再発は残念である。
 先場所優勝を逃した豪栄道は、いい状態で場所を迎えているようなので、うまくいけば優勝争いにからむことができるだろう。カド番の高安は怪我がどれくらい治っているかによるが、実力を発揮すれば勝ち越してカド番脱出は間違いないだろう。ただ、優勝争いにからむところまで調子が戻っているかが気になる。
 大関陥落の照ノ富士は10勝をあげれば大関に復帰できる。そのためには受け身の相撲にならないこと。とにかく立ち合いから当たって出足をきかせ、攻めに徹すればこれほど強い力士はいない。星勘定をするよりも自分の相撲を取り切ってほしい。
 新小結の阿武咲に期待がかかるが、先場所のようにはいかないだろう。特に白鵬と稀勢の里に対してどれだけ自分の相撲をとれるか、だ。それは貴景勝も同じこと。上り坂の両力士が先場所のような活躍を見せれば場所はおおいに盛り上がる。
 注目したいのは再入幕の安美錦。アキレス腱断裂という大怪我を乗り越え、ついに幕内に戻ってきた。十両では勢いこむ若手を軽くいなす相撲が多く見られたが、幕内では通用しないだろう。それだけに、持ち前の技量で土俵を沸かせてくれることを期待したい。
 先場所の上位の大量休場のような異常事態は避けられそうだ。曲者宇良が連続休場というのは寂しいが、怪我をしっかり治してまた土俵を沸かせてくれるものと期待している。
 充実した場所になることが予想される。非常に楽しみである。

(2017年11月11日記)


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