大相撲小言場所


平成三十年夏場所展望〜栃ノ心、大関昇進なるか〜

 横綱稀勢の里が7場所連続の休場を決めた。名古屋場所次第では引退の危機と言われる。師匠の田子ノ浦親方(もと幕内隆ノ鶴)は何を指導してきたのかという声はあがらない。当然だろう。先代の急死で急遽部屋を継ぐことになり、何の準備もしてなかったわずか数場所しか幕内を経験していない師匠に、横綱にできるアドバイスなどあるはずもない。ここは一門の親方たちが、部屋の垣根を超えて協力するべきだろう。いや、一門の枠も関係ない。横綱というのは協会にとって宝なのだ。今のままでは近いうちに横綱不在となるだろう。協会全体にその危機感が見られないのは残念なことだ。
 大関高安も休場。場所中に途中出場する可能性もあるということだが、優勝争いにそこから加わるのは至難の業。看板たるべき横綱大関の休場は大きい。
 だから、今場所の見どころはなんといっても栃ノ心の活躍だ。今場所10勝すれば大関昇進と書くメディアもあるが、上手を引きつけての力相撲をみせて優勝争いに加わるということでなければ、数合わせみたいに10勝したら大関、というわけにもいくまい。もちろん、栃ノ心にはそれだけの活躍を期待できるだけの力はある。顔つきだけ見れば、もう大関の風格が漂いつつある。優勝争いの中心となるくらいの活躍を期待している。
 対抗するのは、先場所の優勝で自信をもった鶴竜か。ただ先場所はうまく引き技のタイミングがよかったため白星もなんとかついてきたが、そう毎場所うまくいくとは思えないので、持ち前の四つ相撲の型をしっかりと作って正攻法で横綱らしい相撲を見せてほしいものだ。
 休場明けの白鵬は張り差しと立ち合いの肘打ちが封じられた時の型をしっかりと作りあげられているかがポイントとなるだろう。序盤に取りこぼしがなければ、日を追うごとに相撲勘を取り戻して独走という可能性もある。
 上位にあがってきた阿炎、先場所苦しんだ北勝富士や貴景勝ら若手たちの活躍にも期待したいが、それ以上に期待しているのは新小結の遠藤だ。怪我とのうまいつきあい方を覚えたようであるし、正当な技能の持ち主だけに、当たり負けさえしなければ今場所も上位陣を苦しめる相撲を取ってくれるのではないか。
 とにかく今場所の主役は栃ノ心。ぜひ序盤から自分の相撲を取り切ることだけを考えて相撲をとってもらいたい。そうすれば地位は自然についてくる。

(2018年5月12日記)


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