大相撲小言場所


令和元年夏場所展望〜新大関貴景勝誕生〜

 貴景勝が新大関に昇進。たいてい新大関での優勝を期待する記事が新聞などに掲載されるんやけれど、今回に限ってはそういうトーンではない。昇進前の場所が10勝どまりだったからということもあるだろう。私はいつも新横綱、新大関の場所は10勝すれば合格と言い続けているのだけれど、今回もそう。大関昇進に伴う行事等の気疲れや、大関に昇進したことによって新たに感じるプレッシャーなどは、ファンが想像する以上のものがあるのだろう。
 白鵬は休場。先場所千秋楽の右腕の怪我は、そう簡単に治るものではあるまい。ましてや最近は故障で休場するケースが増えているのだから、この休場は予想されたもの。前場所全勝優勝の横綱が休場したことで、優勝争いは混沌としてきた。
 先場所のような相撲を取れれば、優勝争い一番手は豪栄道と逸ノ城、か。ただ逸ノ城はこれまでも場所ごとに好不調が激しい力士なので、先場所のようにはいかないかもしれない。高安は場所前の稽古場の様子の報道を見ても、あまり調子が上がってきていないようなので、逆に新大関の貴景勝の方が活躍するかもしれない。御嶽海もダークホースとしてマークしておきたいところだ。本命は横綱鶴竜、と言いきれないのがちょっともどかしくはある。
 平成末は世代交代を予感させる初優勝ラッシュ。栃ノ心や玉鷲のような下馬評にも上がらなかった力士が勢いに乗って優勝する可能性もあるだろう。
 がんばってほしいのは大関から陥落した栃ノ心。10勝すれば大関復帰も可能なのだけれど、この特権を生かし切れなかった元大関を数多く見てきているので、簡単にはいかないのだろうと思う。すぐに10勝できるなら、2場所連続して負け越したりはしてないはずだろうから。それでもせっかくつかんだ大関の座を、見せどころなく5場所で明け渡してしまったのはファンとしても残念なので、ここはぜひ挽回してほしい。
 新入幕は志摩の海と炎鵬。特に炎鵬は幕下時代から期待していた小兵の技能派なので、ぜひ幕内の土俵での大暴れを見せてほしい。そして早く上位にあがり横綱大関陣に挑戦してもらいたい。
 新元号になって初めての場所。それにふさわしい新風が吹くことを楽しみにしている。

(2019年5月11日記)


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