大相撲小言場所


令和元年名古屋場所展望〜貴景勝全休で大関陥落へ〜

 先場所は朝乃山の初優勝という誰もが予想もしなかった展開になった。大きかったのは栃ノ心戦での逆転勝利。あの一番が軍配通りか取り直しになっていたら、展開も変わっていただろう。実力がついて聞いてた朝乃山だが、運も味方しての優勝といっていい。初めて上位と総当たりになる今場所も、それなりの結果が残せたら本物とみていいが、どうなるか。注目はしていきたい。
 新大関で休場した貴景勝が全休。これで2場所での大関陥落となることがほぼ決定的となった。大関本人は出場したいという一念で名古屋入りしたようだが、師匠の千賀ノ浦親方が最終決断をした。稀勢の里を抑えられなかった田子の浦親方とは好対照だ。立場の違いはあれど、現状で師匠と弟子という関係になったのだから、現役時代の番付などにとらわれない指導法があったはず。千賀ノ浦親方はそれを見をもって示した。英断だと思う。秋場所までに万全な体調を取り戻し、一気に優勝を狙うくらいの意気込みで土俵に上がる貴景勝の姿が見たい。
 白鵬は今場所は出場。休みと優勝を交互に繰り返して横綱の座を維持してきた白鵬だが、今場所はどうなるか。報道によるとモンゴル国籍の離脱が認められたとのこと。日本国籍を取得し、一代年寄を贈られる日も近くなってきた。今場所はその目標に向かい、またも土俵をリードしていくことになるだろう。鶴竜は体調が万全ではなく、高安も不調とのこと。栃ノ心も肩を痛めている模様。むら気のある豪栄道を含めて、上位陣の優勝は難しいのではないか。
 ただ、白鵬とて人の子。驚くほどあっさり負ける場面も増えてきた。そうなると、先場所の朝乃山のような伏兵が優勝をさらう可能性はかなりあると見る。
 新入幕の貴源治、新十両の琴ノ若ら注目されてきた若手も台頭しつつある。幕下にいる豊昇龍や納谷が新十両目指してどんな相撲を取るのかも楽しみだ。
 過渡期の戦国時代、抜け出る力士は誰になるのかを見極める場所になりそうだ。

(2019年7月6日記)


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