大相撲小言場所


令和三年名古屋場所展望〜横綱昇進狙う照ノ富士と進退かける白鵬〜

 

 新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、1年以上地方場所が開催されず、国技館での開催となっていた本場所が、この名古屋場所では久々の地方開催となった。コロナ禍が縮小したからではない。東京五輪で国技館も会場になるため、やむを得ず地方開催に踏み切ったのだ。この国ではなによりも五輪開催が優先されるのである。これで力士に感染者が増拡大しても、JCOは何も補償してくれないのだろう。この国では五輪冴え開催できたら、犠牲者が多少出てもかまわないのだ。
 それでも久しぶりの開催で名古屋のファンはさぞうれしいことだろう。1年だけの我慢ですんだのだから、羨ましい限りである。
 さて、今場所の焦点はなんといっても照ノ富士の横綱昇進なるか、だろう。視界は良好であるといっていい。朝乃山は謹慎で休場、大関復帰を視野に入れていた高安も休場。強敵は貴景勝くらい。正代は勝ち越すのがやっとという体たらく。もし昇進を妨げるものがいるとしたら、それは膝の怪我の悪化くらいか。3連覇の可能性はかなり高いといえる。
 これを阻止できるのは先ほども書いたように、貴景勝しかいない。押し相撲のため取りこぼしも多いが、先場所のように追いかけ、追いつくその精神力の強さで照ノ富士に立ちはだかるだろう。
 再入幕の宇良、新三役の若隆景など、技能派が先場所以上に注目される場所になりそうだ。
 そしてもう一つの焦点は横綱白鵬の引退を賭した相撲である。序盤を乗り切れなければ、早期に決断するかもしれない。若隆景のおっつけなど、果たして本場所から長く遠ざかって相撲勘の鈍っている白鵬が受け切れるかどうか。
 外出禁止を破りキャバクラ通いで謹慎となった朝乃山については、何も言うことはない。このままだと復帰の場所は三段目からの再スタートとなる公算が大きいが、阿炎のように心を入れ替えたような相撲ぶりが見られるのか。それまで、どれだけ稽古を積み重ねることができるのか。本人次第。

 琴勇輝、舛ノ山、勢とかつての人気力士が相次いで引退。それぞれにかける言葉は、違うものがあるが、土俵を沸かせてくれてありがとうという感謝の念でいっぱいである。そして、怪我の怖さと無理をして出場することによる悪化がこれらの人気力士を若くしての引退に追い込んだという思いである。公傷制度の復活を希望したい。、

(2021年7月3日記)


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