一気に照ノ富士時代が来るかと思われていたが、今場所はコロナ禍の影響で稽古不十分だったのと、古傷の膝の調子がおもわしくなく、途中休場。カド番大関の正代は6日目までに5敗で、大関陥落は必至と思われた。貴景勝は11日目に優勝を争う琴ノ若を下して勝ち越したが、その後は4連敗。優勝戦線のカギを握るのは貴景勝かと思わせたが、高安、若隆景に敗れて脱落していった。
高安は初日から10連勝。特に10日目の豊昇龍線は辛抱の相撲で、これまでとは違い今度こそ初優勝かと思わせた。しかし11日目に若隆景に寄り切られると、14日目には調子を取り戻した正代に敗れる。若隆景も13日目に御嶽海に寄り切られて2敗目を喫する。琴ノ若は高安。若隆景と優勝を争うライバルとの直接対戦で敗れ、脱落しかけたが、正代、御嶽海に勝って1差で若隆景と高安を追うという展開で千秋楽を迎えた。
千秋楽、琴ノ若が豊昇龍の下手出し投げにはい、脱落。高安は阿炎の突っ張りに屈して送り出され、若隆景は正代に寄り切られて3敗同士で若隆景と高安の優勝決定戦に。決定戦では優勢で寄っていった高安が土俵際で逆転負けを食らい、またも賜杯を逃した。
優勝の若隆景は新関脇での優勝となると、双葉山以来という記録的な優勝。おっつけの型を認められて技能賞も受賞。優勝を逃した高安と琴の若は敢闘賞を贈られた。
今場所は新関脇の阿炎は8勝どまり。突っ張りが上滑りしてもぐられ、引いてしまい負ける相撲ず目立った。他の有望力士も突出した成績をあげられなかったので、今回の三賞は順当なものだったと思う。
驚かされたのは正代で、7日目に明生を下して2勝目をあげると、そこから6連勝。琴ノ若には敗れたものの、優勝決定戦に出た高安と若隆景を続けて下し、大関の意地を見せた。北の富士さんに「順当に負けている」と言われるほど弱っていたのが勝ちがこんでくると大関昇進時のような相撲に戻ってきたのだからすごい。優勝のキーマンは実は正代だったのだ。
新大関御嶽海の場所になるかと思われたが、高安、若隆景、琴ノ若の3
人のためにあるような場所になった。
それはそれで十分楽しませてくれた。正代の大変身にも驚かされたしねえ。
そしていよいよ若隆景の大関挑戦始まる。
(2022年3月27日記)