大相撲小言場所


令和五年春場所展望〜貴景勝の連覇なるか〜

 先場所優勝した時点で貴景勝は横綱に昇進してもよかった。九州場所は決定戦で敗れたとはいえ優勝同点。内規の2場所連続優勝かそれに準ずる成績という文言に照らし合わせたら、その資格は十分にあったはずだ。どちらも横綱不在で12勝という成績が審判部には物足りなかったようだ。しかし、八百長が蔓延していた時代とは違い、15日間完璧な相撲で勝つことはガチンコでは難しいはず。審判部長に横綱が誰一人いないのに、「高いレベルの優勝でないとだめ」などとよく言えたものだと呆れてしまうけれど、横綱どころか大関にもなれなかったものが審判部長でないから、よけいにハードルをあげたくなるのかもしれない。
 今場所優勝してもまた12勝どまりだと、横綱昇進は見送るのだろうか。それなら内規は何のためにあるのか。「綱とり場所」でない場所で優勝して横綱になった稀勢の里とは待遇がえらく違うではないか。むろん、貴景勝が13勝以上をあげて優勝すれば文句なしに昇進できるのだろうが、私は11勝での優勝でも横綱に昇進させるべきだと思っている。内規には「13勝以上の成績を2場所連続あげれば」などとは書かれてないのだ。ただ「優勝またはそれに準ずる成績」とあるだけなのだ。それよりも「品格力量抜群につき」というレベルでの話になぜならないのか不思議で仕方ない。朝青龍の時は「品格」が問題視されたというのに。その時々の審判部の気まぐれで横綱という地位を左右していいものか。佐渡ヶ嶽部長はそのあたりよく考えてほしいし、横綱審議委員会も同じである。
 今場所も横綱照ノ富士は休場。でもそれは貴景勝が望んでそうなったわけではない。御嶽海と正代が陥落して一人大関になったのも、貴景勝が望んだわけではない。むろん照ノ富士は膝の怪我がなるべく軽くなるまでいくらでも休めば良いと思う。
 とはいえ、優勝争いは今場所もまだ混沌としている。霧馬山が優勝争いにからむようだと大関昇進がぐっと近くなるだろう。故障明けの豊昇龍は体調が万全であれば優勝争いに加わることは間違いない。先場所全休で平幕に落ちた高安は、この位置だと大きく星をのばし、初優勝の可能性もある。昨年の春場所に優勝した若隆景、その兄の若元春、優勝経験者の玉鷲、阿炎にもチャンスはありそうだ。
 十両では、惜しくも再入幕を逃した朝乃山が今場所こそ決めるだろう。初土俵で幕下優勝し、入門2場所目で十両に昇進した落合にも注目が集まりそうだ。
 やっと入場制限がなくなった春場所、私は千秋楽に大阪府立体育会館に行き、今年も表彰式から神送りの儀式まで見届ける予定。昨年のように優勝決定戦になれば面白いが、千秋楽まで優勝が決まらないという展開になってくれたら言うことなしである。
 

(2023年3月11日記)


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