今場所の見どころは４点。
まずは先場所優勝した霧馬山の大関昇進だ。三役以上で３３勝以上という目安を超えるためには１０勝あげればいいのだが、ただの１０勝ではなく、優勝争いをしたうえで成績を残してほしいところだ。もっとも、横綱と大関が２人しかいない現状を考えると、多少昇進基準が甘くなっても仕方ないのだが。なにしろ大関は東西に揃っていなければならない。実力不足の者を大関にするわけにはいかないが、現状の霧馬山ならば大関の退任を担うだけの相撲内容が期待されるから、その点は大丈夫だろう。ぜひ優勝争いに残り、場所後に使者を迎えてほしいものだ。
次は横綱照ノ富士の復帰。事前の報道によると、師匠は「これ以上良くはならない」と膝の怪我の状態について話している。しかし、横綱として土俵に上がる以上は狙うは優勝、それしかない。土俵勘がどれだけ戻っているかがカギとなるだろう。序盤を攻める相撲で切り抜ければ優勝候補の一角に残ることはできるだろう。逆に惨敗するようだと引退も考えられる。まだ目標である１０回目の優勝は果たしていない。それまではなんとかがんばってほしい。
続いては再入幕の朝乃山。実力は多くの相撲ファンの認めるところ。幕内下位なので、中日くらいまでは上と当たることはないと思われる。最有力の優勝候補として名前をあげておきたい。朝乃山の不祥事がなければ、大関以上が２人だけという状態にはなってなかっただろう。年内の大関復帰を目標にしてほしいし、そのためには今場所大きく勝ち越すことが条件となってくるだろう。
最後にカド番大関となった貴景勝。先場所は優勝して横綱にというところが怪我のため暗転した。無事是名馬という言葉もある。怪我の多い貴景勝は今後も横綱は難しいかもしれないが、大関陥落ということにだけはならないでほしい。今場所は怪我をしたか所に負担のかからないように、勝ち越しを目指してほしいものだ。
関脇以下にはあと一皮むけたら大関になれる力士がひしめきあっている。その中から霧馬山に続く力士が出てくることを願っている。
もと関脇逸ノ城が突如引退した。腰の状態が良くなく体がしびれるという。これ以上は相撲が取れる状態にはないということだ。しかし、引退後どうするかも決定していない。協会残るという選択肢はないようだ。どうしても師匠との確執という噂はやはり本当だったということだろう。大関以上を狙えた逸材が志半ばにして土俵を去る。名残惜しいのは相撲ファンだけではなく協会関係者もそうだろう。今後はモンゴルに帰国し、草原を走り回る日々を取り戻してほしいというのは私のわがままだろうか。土俵を騒がせた「怪物」の散り際としては残念だが、よく土俵を盛り上げてくれた功労者には間違いない。長い間お疲れ様でした。
（２０２３年５月１３日記）
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