たちよみの会 私の好きな本


ほんの一冊
いしいひさいち
朝日新聞社刊
\952-
ISBN4-02-257360-0 C0979 

ほんの一冊 書評に書評本を取り上げるというのもなんなんだが、天才いしいひさいちの仕事ということで許してもらおう。
 朝日新聞の「ののちゃん」でおなじみの藤原ひとみ先生はじめ、広岡達三、タブチコースケの各先生が『ベストセラーを笑え!』ということで、通俗本から、歴史ものまで最近のベストセラーを書評するという趣向である。
 取り上げられた本が50冊余り、恥ずかしながら私はうち数冊しか読んでいない。(待てよ、読書が個性的ということで、よいことなのか?)なお続刊中の「問題外論」「ドーナツブックス」で類いまれなギャグの質と量を維持する創作の秘密が垣間見えたような気がする。
 スタジオジブリの次回作に自作が選ばれたことを「どんなヘンな原作にも対応できるように」と自虐的なギャグでおとしたり(本書掲載4駒)、作品集「鏡の国の戦争」「いしいひさいちのCNN」では擬音系仮想戦記の作者連中には及びもつかないような軍事知識、国際政治知識をさりげなく披露するこの作風を私のみならず多くの人が支持しているのである。
 多作にもかかわらず、しょーもないワイドショーねたばかりでお茶を濁して、本業以外のTV出演が目立つやくみつるなどには見習って欲しいものだ。

 》『それにしてもベストセラーであればあるほど、おちょくりたく
 》なってしまうのはなぜだろうか。売れた本が、すなわち良書であ
 》るという錯覚への反抗――いや単なる妬みだろう。これでまた敵
 》を増やしたことだけは間違いないな。』   

 ところで、「問題外論」の章扉の文章を誰が書いているのかと思っていたのだが、このねちこい文章(褒め言葉)は間違いなく、いしいひさいち本人である。これもひとつの収穫であった。

(寿) 


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