愛すれどTigers


18年ぶりの優勝、甲子園で決定!

 2003年9月15日(月)。甲子園でのカープ戦、タイガースは赤星のサヨナラヒットで連敗をストップさせ、マジックを1とした。そして、薄暮で 行われたベイスターズ−スワローズ戦でスワローズが6−12で敗戦した19時33分10秒、タイガースの18年ぶりの優勝が決定した。星野監督が宙に舞 い、続いて島野コーチ、桧山選手会長がナインの手で胴上げされた。祝勝会では選手たちの歓喜のビールかけが行われ、在阪各放送局では夜を徹して特別番組を 流した。開幕から快調に勝ち進み、夏のロードと優勝決定直前のロードで少し停滞したものの、危なげのない独走での優勝である。カープ戦はその後の試合を含 めて3勝1敗。東京ドームでのジャイアンツ戦は1勝2敗。今節はトータルで3勝3敗であった。あとは日本シリーズに向けて選手たちの気持ちをいかに途切れ させずに試合を消化するか、である。ああ、こんなことを書ける日がきたなんて、夢のようであるわい。

◎カープ23回戦……3−2
 先発は伊良部。3回表、シーツに先制2ランを打たれ、甲子園球場には嫌なムードが漂った。しかし、カープ先発の河内から5回裏にヒットの矢野を伊良部が 送り、沖原がライトへの流し打ちで返し、1点差に詰め寄った。しかし、そのあとは河内、長谷川に完璧に抑えられ、敗色濃厚。4回以降は伊良部、そしてリガ ンとつないで8回までをなんとか無得点に抑える。特に8回表は木村拓、浅井の連続ヒットでピンチを作り、2死満塁のピンチを招いたが、リガンは野村を ショートフライに切ってとって切り抜けた。そして8回裏、片岡が長谷川の初球をライトスタンドに叩き込み、とうとう同点に追いついた。このホームランが流 れを変えた。9回表、安藤がカープ打線を抑えると、その裏、藤本、片岡の連続ヒットでサヨナラのチャンスを作る。ランナーが三塁に進んだので、好調の沖原 は敬遠。1死満塁で打席には赤星。鶴田の初球を叩くと浅く守っていたライト朝山の頭を越えていく。見事なサヨナラヒットでマジックは1に。そしてマジック 対象のスワローズが敗れ、今季の優勝が決定した。
◎カープ24回戦……4−1
 先発井川は前夜のビールかけにも参加せず、この試合に臨んだ。3回表、朝山に先制ホームランは浴びたものの、あとは危なげない投球で4回以降は1安打の み。一方、タイガースはホームラン攻勢。4回裏にアリアスが35号同点ホームラン、6回裏にはアリアス併殺の間に三塁ランナーが生還して勝ち越したあと、 関本がソロホームランをレフトスタンドに叩き込む。7回裏には早川も久々の起用に応えてホームランを打ち、井川を助けた。井川は完投で17勝目。防御率1 位も守った。
◎カープ25回戦……2−3
 先発は日本シリーズに向けて復活を期するムーア。初回、先頭の朝山に三塁打を許し、木村拓の二塁打や捕手浅井のエラーなどで2点を失う。その裏、ホーム ラン王のタイトルを狙うために1番打者に起用されたアリアスが期待通りに36号ホームランをレフトスタンドに運ぶ。5回表、ムーアはブロックにホームラン を打たれて3点目を失ったが、一時期と比較すれば実にいい感じの投球。その裏、浅井がタイムリーを打って1点差としたが、佐々岡、永川の継投に完全に抑え られ、惜しくも敗れた。
◎ジャイアンツ24回戦……6−0
 先発は藤川。2回裏には連続四球、4回裏には連続ヒットでピンチを招いたが、どちらも併殺打を打たせて切り抜けた。打線は若い林をとらえる。2回表、関 本のタイムリー、そしてアリアスのタイムリー内野安打で2点を先取、3回には関本のホームランで3点目、林をKOした。6回には柏田から赤星がタイム リー、9回には久保から代打平下の2ランが飛び出して完勝。この勝利で対ジャイアンツ戦は17勝目。これは球団史上最多タイ記録である。
◎ジャイアンツ25回戦……2−4
 ジャイアンツは原監督辞任という報道でゆれていたが、この試合は先発谷中を初回から攻め立てる。2回までは何とか無得点に抑えた谷中だったが、 3回につかまる。高橋由と斉藤の二塁打で2失点。4回裏には3連打で無死満塁のピンチを招き、ペタジーニのヒットでさらに1点を失った。金澤、石毛とつな いだが、石毛も7回裏、清原にホームランを打たれる。タイガース打線は上原の前に6回まで1安打に抑えられていたが、7回表、片岡が2ランをライトスタン ドに打ち、完封は免れた。上原には完投を許してしまって、ジャイアンツ戦最多勝の記録更新はならず。
◎ジャイアンツ26回戦……5−10
 日本シリーズの先発要員として期待される福原がつかまった。初回には清原の投手強襲安打で先制点を許す。2回表、工藤から矢野の二塁打などで3点を奪い 逆転したが、3回裏、福原はペタジーニの2ラン、斉藤の2ランで逆転を許した。5回裏には今季初登板の新人江草が登板したが、元木の二塁打でプロ入り初失 点、6回裏には前の打席では三振に打ち取った清原からプロの洗礼を浴びるホームランでさらに1点を失った。7回表、アリアスがホームランダービートップの 37号2ランを放ち、工藤をKO。2点差と迫る。しかし、8回裏、石毛が斉藤の三塁打と仁志の犠牲フライで3点を奪われ、久保とサンタナのリレーの前に打 線も沈黙、東京ドーム最終戦はジャイアンツに花を持たせる形になった。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……井川慶 ビールかけにも参加せずに自分の役割をきっちりと果 たしたところにプロの凄みを感じさせた。優勝決定の翌日にこういう勝ち方ができるところがエースなのである。
野手……赤星憲広 優勝決定のサヨナラヒットにはしびれた。さらに、優勝決定後も盗塁の数を着々と増やしている。最終戦まで手を抜かない姿 勢に好感が持てる。

 優勝が決まり、次の目標は日本シリーズだ。相手はマジックを5としたホークスが有力。大阪には南海以来のファンも多く、盛り上がりが期待される。 これからしばらくは井川の最多勝と防御率1位、今岡と矢野の首位打者争い、アリアスのホームラン王争いなど、個人タイトルが注目される。二軍は後期優勝を 果たし、プレーオフに臨む。シーズンはまだ終わっていないのである。

(2003年9月23日記)


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