愛すれどTigers


全日程終了、井川20勝達成

 2003年の全日程が終了した。今季最後の甲子園は、ジャイアンツに1敗、カープに1勝。あわせて1勝1敗。最終戦、井川が中4日で先発し、20 勝を達成。セントラル・リーグでは上原投手以来、タイガースでは1979年の小林繁投手以来の20勝である。最多勝利、そして防御率1位のタイトルも確 実。また、日本シリーズをにらんで今岡が久しぶりに先発出場、こちらは首位打者がほぼ確定。赤星は3年連続の盗塁王が確定。これだけタイトルホルダーが並 ぶのもうれしい限り。さあ、次は10月18日開幕の日本シリーズが待っている。
 阪神タイガース、2003年度成績。87勝51敗2分。勝率.630。リーグ優勝。

◎ジャイアンツ28回戦……2−6
 先発はムーアと高橋尚の両左腕。初回、沖原がヒットで出塁すると金本がライト前にはじき返して続き、4番の広澤が先制タイムリーをライト前に運ぶ。2回 には矢野がレフトスタンドへソロホームランを打ち込み2点を先制した。ムーアは3回までは好調時を思わせる投球を見せたが、4回表にショート藤本のエラー で出塁した高橋由を一塁に置き、清原にライトスタンドに運ばれ、同点に追いつかれた。さらに5回表には2死から元木のタイムリー、高橋由も二塁打で続いて 投手の林にもタイムリーを打たれる。江藤のタイムリーでさらに1点を追加され、斉藤を歩かせたところでムーアはマウンドを降りた。二番手の石毛も仁志にタ イムリーを浴び、一気にホームインしようとした江藤をホームで刺してなんとか4点差にとどめた。そのあとは石毛、吉野、安藤が踏ん張って6回以降はパー フェクトに抑える。しかし、打線も林、ベイリー、サンタナのリレーの前にランナーを毎回出しながらもあと一打が出ず、退団する原監督の最後の試合に花を持 たせるような形となった。試合終了後、異例の原監督のあいさつが甲子園であり、花束を渡した星野監督のささやきに原監督が涙ぐむというシーンも見られた。

◎カープ28回戦……11−3

 先発は井川と河内の若き両左腕。井川は初回にいきなりヒットを続けられ、緒方のタイムリーで先取点を与える。その裏、河内は久々の先発出場の今岡を打ち 取ったが、続く赤星の頭部にデッドボール。橘高主審はこれを危険球とみなし退場処分を命じた。急遽マウンドに上った横山は気の毒な当番。赤星の盗塁の後、 金本がライト前ヒット、広澤のタイムリー二塁打でまず1点。桧山が歩いて満塁。矢野が走者一掃の二塁打をセンターオーバーに放って一挙4点。その後も、三 番手林から3回裏には藤本のタイムリー、4回裏には金本のタイムリーで着々と点を加え、エースを援護する。しかし、井川は5回表に勝ち投手の権利を意識し たか、栗原にセンターバックスクリーンに飛び込む大きなホームランを打たれ、続く倉のセンターフライは、中村豊がいったんグラブに収めながら落としてしま い、代打町田のタイムリーを呼び込む。しかし、さすがエース井川。そのあとはなんとか抑え、6回3失点でマウンドを譲った。タイガースはリガンがきっちり 抑え、カープは菊池原が抑えて試合は一転して淡々としたムードに。しかし、7回からマウンドに上がった澤崎を8回にタイガース打線がとらえた。1死一二塁 からアリアスの二塁打でまず2点。桧山が歩いてまた一二塁。野口のライト前への二塁打でさらに1点、久慈はセンターへの犠牲フライでまた1点、とどめは沖 原のライト前ヒットでだめ押しの1点。なんと打者10人5安打2四球1犠飛。最後はウィリアムスがきっちり抑えて最終戦を締めくくった。この試合で赤星は 61個目の盗塁を決め、藤本は2安打で打率を3割に乗せた。試合終了後は、桧山選手会長からファンへの「みなさんともう一度、勝利の美酒を味わいたい」と いう力強いあいさつ、そしてナインがスタンドへサインボールを投げ入れるサービスなどがあり、超満員の観衆を楽しませた。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……井川慶 さあ、日本シリーズはホークスの斉藤と20勝対決 だ。
野手……広澤克実 頼もしい最年長打者がしっかりとチャンスに活躍し ている。ホークスの左腕投手陣攻略に欠かせない男だ。

 かくして、夢のようなシーズンが終わった。勝利数は球団史上最高。2位とのゲーム差は14.5。まさに独走であった。長年応援しているけれど、こ んなに安心してみていられた年は初めて。1985年の優勝は、先発投手が頼りなかったのでそれほど安心もしてられなかった。
 さて、いよいよホークスとの日本シリーズだが、私は今岡はベンチにおいておくべきだと思う。最終戦は、スタンドから見ていてもタイミングを取るのが難し く、実戦から離れている弱みを感じた。それに対して途中出場の沖原は実にいい感じで打っている。晴れ舞台で今岡がベンチは気の毒だが、勝つためには長く欠 場している選手よりも現時点でのレギュラーを優先すべし。それこそ普段着の野球というスタイルではないか。同じ理由で濱中のDH起用にも疑問符がつく。こ こは調子を上げてきた広澤に託したほうがいい。
 ああ、こういうことを書ける幸せ。
 はやくこいこい日本シリーズ第1戦!

 (2003年10月13日記)


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