チームが福岡入りする直前の深夜、星野監督勇退の報道があり、ファンもマスメディアも動揺が隠せないまま、日本シリーズの開幕となる。
このシリーズのポイントは選手がこの報道をどのように受け止めているかということだろう。おそらく星野監督より直接説明は受けているだろう。だとすれ
ば、星野監督を最後にもう一度胴上げするのだという意識がうまく体の動きとかみ合うか、意識過剰になって空回りするか。これは実際に試合が始まってみない
とわからない。
なんにせよ、予想外の要因がタイガースのナインに加わったということだけは間違いあるまい。
さて、日本シリーズの展望であるが、私はこの1年、タイガースの試合はずっと見続けているが、ホークスの試合はニュース映像以外に見ていないので、き
ちっとした戦力分析はできるはずがない。したがって、勝敗予想もできない。ただ、新聞などで見るデータでは打線の強力さや先発投手陣の充実ぶりは知ること
ができる。
タイガースは終盤に今岡が長期欠場して勝負勘が鈍っているのではないかという心配がある。実際、公式戦の最終戦で今岡の打席に注目したが、タイミングを
とり辛そうにしていた。ここは今岡ではなく公式戦の続きで沖原を起用するという手もあるのではないか。もっとも、星野監督としたら前半戦で突っ走ったとき
のベストメンバーを組みたいという考えもあるだろうし、ここ一番の今岡の奮起に期待したいところだ。
もしかしたらタイガースに有利になるかもしれない点が、ホークス投手陣にはある。今年20勝した斉藤は、昨年までは鳴かず飛ばずの成績であった。杉内、
寺原は2年目。和田、新垣は新人。日本シリーズという大舞台に飲まれてしまう可能性はある。もしかしたらかえって恐いもの知らずの投球を見せるかもしれな
い。これも実際にシリーズが始まってしまわないとなんともいえない。短期決戦の難しさがある。調子の悪い選手がきっかけをつかむのを待っている暇はないの
である。
タイガースはやはりエース井川が鍵を握る。得意のチェンジアップがコーナーに決まったら、ホークス打線といえども打つのは難しいだろう。打者では桧山
か。広い福岡ドームでは一発は狙いにくい。センター方向への打撃に徹することができるか。
ホークス打線は甲子園の浜風とどう対峙するかに注目したい。福岡ドームでなら入ったという感触があっても、甲子園では強い風が打球を押し戻す。「千葉マ
リンスタジアムで強風は経験している」と言っていた選手もいたが、風の性質がまた違う。
星野監督の胴上げを再度見てみたい。選手が今季出した普段の力を十分に発揮し、第7戦にまでもつれこむような展開を期待したい。昨年のライオンズみたい
なあっけなく4連敗、という結果にならないことを祈りたい。
(2003年10月17日記)