愛すれどTigers


シリーズ連敗スタート

 日本シリーズが開幕した。福岡ドームで迎えた初戦はサヨナラ負け。2戦目は大敗。思いもよらぬ2連敗で甲子園に帰ることになった。選手の緊張感が テレビで見ているこちらにまで伝わってくる。打者の振りは鈍く、投手もコントロールを乱している。それに対し、ホークスは初戦をものにしたことで、2戦目 はのびのびとした雰囲気が漂っている。もっとも、2連勝したことで王監督も選手も楽勝ムードで安心したような表情をしているから、これが気のゆるみにつな がることもあり得ないではない。まだ2試合。これで終わったわけではない。短期決戦の怖さはこれからなのだ。

◎ホークス1回戦……4−5
 井川と斉藤の20勝投手同士が先発。タイガースは1回表、先頭打者の今岡がヒットで出塁し、2死から桧山が歩いてチャンスを作るが、広澤が三振で無得 点。広澤はこの試合3三振でブレーキとなった。一方の井川は球は高めに浮いてはいたが、初回は三者凡退と好スタート。しかし、2回裏、松中、城島と連続三 振にとったあと、バルデスを歩かせて調子が狂った。ズレータにヒットを打たれてランナーを二塁にやる。そして村松にセンター前に打ち返された。赤星の返球 はマウンドでイレギュラーバウンドをしてそれ、バルデスがホームイン。1点先制される。4回表、タイガースも反撃だ。2死からアリアス、片岡が連続四球で 塁に出て、矢野が右中間を抜ける2点タイムリー三塁打で逆転した。ここでかさにかかって攻めたいところだったが、藤本はライトフライで続くことができず。 1点のリードをもらった井川は、城島に高めのボール球をレフトスタンドに運ばれて同点とされた。このホームランで動揺したか、バルデスにはセンター前ヒッ ト、そしてズレータの内角をつくもユニフォームをかする死球、そして村松のセンター前ヒットで満塁のピンチを迎える。ここで鳥越にセンターへ犠牲フライを 打たれ、1点のリードを許してしまった。しかし、相手の斉藤もぴりっとしない。6回表、ショートのエラーで桧山が塁に出、アリアスのレフト前に運ぶ同点タ イムリーで追いつく。早々とマウンドを降りた井川に代わって6回から登板したリガンだったが、2死から柴原の内野安打、そして川崎への四球でランナーをた め、井口のタイムリーでまたリードを許した。7回表、藤本が四球を選び、2死のあと金本も四球で一、二塁。ここで投手は吉田に交代。左投手ではあったが桧 山はセンター前にきっちりとヒットを放ち、また同点に追いついた。そのあとはタイガースはリガン、安藤と8回裏まできっちり抑え、ホークスも岡本でつな ぐ。9回表、今岡がヒットで出塁し、赤星が送ると金本のところで投手は篠原に。金本はキャッチャーファウルフライに倒れ、チャンスを生かせなかった。シー ズン中ならちゅうちょなくウィリアムスを送る場面だが、星野監督は安藤続投を選ぶ。1死から松中を歩かせ、城島にうまくライト前に運ばれてサヨナラのピン チ。バルデスは三振に打ち取り、ズレータもセンターフライ。ところが、サヨナラを警戒して前進守備をしいていた赤星がダイビングキャッチを試みたが、届か ない。球は無情にも外野を転がり、代走の大越がホームを踏んで試合は終わった。延長戦を意識しすぎて安藤を引っ張った星野監督の賭が裏目に出たというきつ い敗戦。

◎ホークス2回戦……0−13
 ホークスの先発杉内の手元で伸びる球にタイミングが合わず、どの打者も振りが鈍い。ヒットでランナーが出ても併殺でつぶすというちぐはぐな攻め。8回を 散発5安打では勝てない。9回には慣らし運転の新垣にも抑えられ、完封負け。伊良部は初回こそ低めの球が決まって上々のすべりだしだったが、2回から主審 の東が低めいっぱいの球をボールとコールし、カウントを悪くしたところでストライクをとりにいった球をねらい打たれる。バルデス、ズレータに連打され、村 松の高いバウンドのピッチャーゴロもアウトにとれず内野安打としてしまい1死満塁。ここで鳥越にセンターの頭を越える走者一掃の先制タイムリー二塁打を打 たれる。川崎にもタイムリー三塁打を許し、早くも4点差。3回裏には城島に2試合連続のホームランを打たれ、4回裏、村松のヒットと鳥越への四球を許した ところで伊良部はマウンドを降りた。しかし、ここで交代した吉野がよく踏ん張って追加点を許さない。そして、5回と6回は石毛が2四球を許すもヒットは打 たれず試合の形を作る。ぶちこわしたのは金澤で、7回にはズレータの3ランと川崎の2点タイムリー三塁打で5点を失い、8回には自らの悪送球エラーでラン ナーをためてバルデスに3ランを浴び、3点を失う。なんと2イニングで8失点。シリーズの前から甘い球を不用意に投げる金澤はホークス打線の餌食になりそ うな気がしていたが、ここまではっきり打たれるとつまらぬ予想を立てた我が身を呪いたくなる。試合後の王監督はインタビューで「2勝します!」と豪語し た。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……吉野誠 ホークスの左打線をきっちりと抑えた。シリーズ初出 場とは思えない自信に満ちたマウンド。甲子園では吉野が鍵を握る。
野手……今岡誠 きっちりとシリーズに照準をあわせて2試合連続先頭 打者ヒットは立派。他の打者も今岡に続け。

 2連敗して甲子園に帰ってくるタイガースだが、ホークスは福岡ドームのような自信満々な野球ができるかどうか。吉野の横の変化球に手こずったホー クス打線だけに、3戦目はムーアのスライダーが決まるとおもしろい展開になるだろう。予想では下柳だが、手の内を知られている下柳だと組みし易しと侮られ るのではないだろうか。とにかく、このまま終わってほしくない。まず甲子園の1戦目をとること。これで流れは変わる。王監督と杉内、鳥越のインタビューに ホークスの驕りを感じた。驕った時に油断が生じ、勝者が敗者に転じるのは歴史が証明している。
 なに、10年も続けてBクラスのチームを応援してきた身、2連敗くらい慣れておるわ。わははははは。うう悲しい。

 (2003年10月20日記)


目次に戻る

ホームページに戻る