読書感想文


八咫烏奇談
椹野道流著
講談社X文庫 ホワイトハート
1998年1月5日第1刷
定価530円

 「泣赤子奇談」に続く伝奇オカルト第3弾。
 今回は旅館の若い女将に転生した女性とかつてその女性に裏切られて死んだ愛人の悪霊に関する因縁話。まあ、怪談としてはよくある設定といえる。ぶっきらぼうな除霊師と人なつこい精霊と人間のハーフがコンビとして狂言回しの役どころを演じ、ミステリーの謎解きのような展開で読ませる。筆力はある人だと思う。それだけに物語の芯となる設定の部分の陳腐さが気になる。もっと練った設定で書けばさぞかし傑作になるだろうに。
 本職は監察医。それだけにミイラから生きていた時の年齢などを判定する場面など説得力がある。

(1998年2月2日読了)


目次に戻る

ホームページに戻る