シリーズ第3弾にして、完結編。「武田信玄の野望 激闘編」の続刊である。
征夷大将軍となった武田信玄の全国統一に立ちはだかるのは毛利軍。新兵器、焙烙(ほうろく:原始的な焼夷弾のようなもの)投擲器を駆使する毛利軍であるが、信玄配下の雑賀衆の鉄砲隊はすごいぞ。放物線を描いて飛んでくる焙烙の導火線を火縄銃で打ち抜き(しかも百発百中!)、空中で破裂させてしまうのだ。さればと毛利軍が導火線を上向きにして投擲すれば、猿飛佐助(時代が違うぞ、この時代は真田幸村の祖父、幸隆の時代だ)は大凧にのり(白影さんだ!)、宵闇の中で上から焙烙を狙って破裂させる。
こういう破天荒としかいいようのない話をシミュレーションとは言ってはいかんよ。架空戦記に忍者部隊が伊賀の影丸みたいな活躍をしてしまうというのは、反則だと思う。
しかも、ここまで大ボラを吹いておいて、結末はあっさりと和睦で終わってしまうというのだから(しまった、ネタをばらしてしまった。もっともこの小説は結末で読ませるものではないから、いいか)、信じられない。
いや実は、最近霧島那智のこのムチャクチャぶりがなんだか楽しみになってきたのだ。困ったものである。
(1998年2月14日読了)