読書感想文


マッカーサー暗殺 下
山本五十六特殊コマンドシリーズ
小峯隆生著
学習研究社 歴史群像新書
1997年12月24日第1刷
定価760円

 「マッカーサー暗殺 上」の続刊。スターリンのシナリオ通り、山本五十六の仇をうつべく長岡出身の若者たちはマッカーサー暗殺に全力を尽くす。終戦の後も占領をしにやってくるマッカーサーを狙って彼らは迎撃をする。
 これは架空戦記ではなく、歴史小説である。史実に、架空の人物を投入することにより、より歴史を面白く読ませる、そういう種類の小説だ。
 これまでは第二次世界大戦を扱った小説といえば、同時代を生きた者の実録小説といった形のものが多かったが、戦後50年たち、新しい世代により歴史小説として新たな命を得ることになったわけだ。本書はその里程標のような作品といっていいかと思う。いや、架空戦記は、その過程で生まれた過渡期の産物なのかもしれない。
 歴史改変というフィルターをくぐって、完全なるフィクションとして第二次世界大戦を扱う。その方が抵抗なく受け入れられ、ワンクッションをおいて次は純粋な歴史小説として大戦は扱われるようになる。そういう気がする。

(1998年3月1日読了)


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