読書感想文


思慕回廊の幻
電影戦線 2
流星香著
講談社X文庫 ホワイトハート
1998年2月5日第1刷
定価570円

 「半妖の電夢国」の続刊。その感想でも書いたように、ゲーム世界のプログラミングされたキャラクターの感情があまりにも人間的で複雑すぎやしないかい。どういうプログラムがなされているのかはくわしくは書かれてはいないが、もう少しプログラムらしさがあった方がよいのに。そうすればゲーム世界に入っている人間たちとの関係の齟齬というものがあったりして面白いと思う。せっかくゲーム世界を舞台にとったのだから、それが異世界を設定する道具としてだけ使われるのはいかにももったいない。
 ゲーム世界では別人格として登場するキャラクターたちが現実世界では本当は誰なのかも次第に明らかになっていく。これがほとんどもともと主人公と関係のある人物ばかりというのはどうだかね。全く関係のなかった人間どうしが知らず知らずのうちに接触し、ゲーム世界とシンクロしてくるという方が面白いと思うぞ。
 というわけで、せっかく面白い設定をしているのに、十分に使い切っていないという印象が残るのである。

(1998年3月7日読了)


目次に戻る

ホームページに戻る