「亜欧州大戦記3」の続刊。
この作者についてはなかなかの力量を持った作家であると思っている。本書でも満州からシベリアにかけての極寒の中での戦闘を細かな描写を大切にして描いている。また、戦争のとらえ方にバランスのとれたものを感じる。例えば、航空主兵を唱える司令官が海軍の中心にいるのだが、ここでは大和を欧州に派遣し外国に国力を見せつける「看板」として活用するのである。このセンスは、買える。キャリアとノンキャリアの対立など、現在の官僚にも受け継がれている体質をとりいれ小説にうまく組み込んでいる。
この前に書いてた未完の「龍騎兵」の方が歴史を捕らえるスケールが大きかったので、できればそちらの続編も望みたいところだ。
(1998年3月14日読了)