「逆襲独立艦隊4」の続刊。
もし太平洋戦争時に流滴型の潜水艦隊があり、独立して行動していたらという設定で始まったこのシリーズも、本巻で完結。
どんな隠密部隊であっても歴史の流れはそう簡単に変えられないということになった。しかし、完結篇において作者は艦長の古葉の行動を通じて、特効や原爆の愚かさを訴え、作中だけでもこれらの愚挙を阻止しようとしたのである。
それをするために少々無理をして、潜水艦隊とは全く関係のないファクターを挿入し、広島への原爆投下を失敗させたほど、作者はこのテーマを強く前面に出している。話の展開からしていたしかたなかったのかもしれないが、いささか強引。本巻のみそれまでの巻とはトーンが違って見える。全巻統一したトーンで書き継いでいくのは難しいことだろうが、1巻を読んだ時にはこのような展開になるとは読めなかった。
ところで、ラスト近くで作者は、せっかく命の助かった隊員たちを突発的な事故で殺してしまっている。これ、必然性も何もない。物語をお涙ちょうだいにするためにわざわざそうしたのだろうか。なんともいただけない。けっこういい展開だったのに、このラストで話全体が後味の悪いものになってしまった。小説上のテクニックというのを勘違いしているのではないだろうか。
(1998年4月13日読了)