読書感想文


青の十字架
降魔美少年 2
岡野麻里安著
講談社X文庫 ホワイトハート
1998年3月5日第1刷
定価570円

 「降魔美少年」の続編。シリーズのタイトルも本書のタイトルも内容とはあんまり関係ないんだな。もう少し内容を匂わせるタイトルにしてよ。
 前巻の最後に行方をくらませた銀髪の超能力美少年、亮の居場所を知っていると偽り、主人公咲也に近づく謎の美少年、一実。彼は、亮の作っていた組織”ミレニアム”の対抗組織”ネオ・ミレニアム”の一員で、なぜか咲也を敵と狙う。その理由は……。
 ええい、もったぶってるんじゃないよ。一実は亮に惚れていて、亮が咲也のことばかり気にかけ、そのせいで組織もつぶしてしまったので、嫉妬して咲也をぐちゃぐちゃにしようとしているのだったのだ……。アホかいな。そんなことで関係ない人間を巻き込むような戦いをするな! 近所迷惑じゃ!
 おまけに一実は咲也のボディーガード岩永の実弟で、咲也に兄を取られたように思い込み二重の嫉妬をしていたりする。成長していない餓鬼に超能力なんぞ持たしたら危ないという教訓を感じる……わけないか。
 美少年のオンパレードに嫉妬によるケンカ。これは(性格的な意味で)男性には書けない小説であり男性には楽しめない類いのものだろう。少なくとも、このシリーズに登場する人物の行動原理はおよそ男性のものとは思えないものばかり。男というのはもっと単純で馬鹿で理屈っぽいと思うぞ。
 ところで、銀髪の美少年って、現実にいたら気味が悪くないか? それって総白髪ということだろう。すごく爺さん臭く見える筈だ。タイトルもそうなんだけど、この作者、言葉だけのイメージに酔って書いているとしか私には思えない。

(1998年4月26日読了)


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