「くちづけよりも熱い拳」が外伝の短編集であったのに対し、また本編に戻っての第6巻。
だんだんよく鳴る法華の太鼓、で、巻を追うごとに話が面白くなってきているこのシリーズ。本巻では、過去に登場したキャラクターが再登場。主人公和穂が回収しようとする宝貝の仙力ひとつひとつの力にまつわるエピソードだけではなく、それを複合させて新しい力をひき出そうとする敵が出現。これらのように展開に一ひねり入れることで物語に奥行きが出てきている。道具も、それを扱う者の心の持ちようだという心理的な掘り下げも十分にできていて、第1巻のころから比べると、成長著しい作家の一人であるといえる。
今回張りながら最後まで使わなかった伏線は、次巻以降で生かされるのだろう。そう思うと、次巻が待ち遠しくなってきた。
(1998年4月27日読了)