読書感想文


夢幻戦記 2 総司地獄変 下
栗本薫著
角川春樹事務所 ハルキ・ノベルス
1998年4月8日第1刷
定価619円

 「夢幻戦記 1 総司地獄変 上」に続く第2巻。
 転生した超能力の持ち主として描かれる沖田総司の物語。
 本巻では土方歳三と出会い、何かしら惹かれるものを感じた総司が、彗星の見える夜にその星から飛来した総司にしか見えないはずの怪物たちを土方も見つけたことを知り、より深い絆で結ばれる様子を描く。闘争心のない青年沖田総司と、大きな欲をもつ土方歳三は、対照的であるがために、おそらくこれからお互いを補完していく関係になるのだろう。
 前巻の感想でも書いたが、総司が前世からの敵と出会ったり、異世界の怪物を見たりする時の描写というか設定というか、そこらへんが陳腐に感じられてならない。
 一つのことを説明するのに2〜3ページを費やすほどの饒舌さはこの作者のことだから仕方ないけれど、もう少し筆を抑えて読者に行間を読み取らせようとかいうことはできんのかいね。それとも、全てを書かないと読み手に誤読されると恐れているとか。今どき小説を読もうという人たちはそれほどひどい人ばかりではないと思う。
 たぶん、上下2冊は筆を抑えれば1冊に収まるでしょう。私としてはそうしていただいた方が出費を少しでも減らすことができてありがたいのですが。

(1998年5月9日読了)


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