「白虎、暗躍」の続刊で、シリーズ完結篇。
獣格化の裏には人間によって自然が破壊され、野生に戻れば地球を救うことができるというように狂信する敵がいた。
四神と5人の主人公たちの関係が最後までわかりにくいのがちょっとつらいけれど(私に読解力がないせいか)。子どもが獣格化するので大人が子どもを狩るシーンなど、さもありなんという感じで説得力がある。
全体にヒューマニズムを基調として、若い読者に「夢を失うな、明日を信じよ」というメッセージを送っているのだ。そこらへんがクサくもあるけれど、閉息感のある現代で妙におとなしいが内面に重いものを抱えた若者たちの存在を感じる今、こういったメッセージを発するのはヤングアダルト小説の作家の一つの役割なのかもしれない。
(1998年5月17日読了)