「亜細亜の覇者 1」の続刊。
真珠湾奇襲を逃れた米国。その陰には尾崎秀実とリヒァルト・ゾルゲの情報があった。しかし、東条英機の情報統制により尾崎は情報を得るパイプを失う。そんな彼が知り合ったのが、海軍の主力がなじみにしている居酒屋の娘、須磨子。彼は須磨子の店で海軍の源田実や淵田美津雄らと顔なじみになり、「大和」「長門」が空母に改装されるという秘密を知る。
このような謀略戦に的を絞って書けば面白いのに、ルーズベルト大統領の悪辣さや、源田と淵田の取っ組み合いやら、いろいろなエピソード全てを細かく書き込み、結局話が冗長になってしまっている。
作者は戦争における人間群像を描こうとしているのだろうが、全く効果があがっていないように感じる。架空戦記を史実の戦記読み物の面白さに近づけようとして、あるいは娯楽小説として面白いものにしようという気持ちは買えるのだけれど。
(1998年5月20日読了)