「徳川慶喜覇王伝 激突黒船奇襲編」に続く完結編。
米露を噛み合わせることで幕府の危機を救った若き慶喜は、長州と紀州の野望を知り、薩摩の西郷吉之助、新門辰五郎、坂本龍馬、近藤勇、清水の次郎長など身分を問わずに有能な者を配下に置き、京都に進撃する。長州より先に帝を手中にし、一気に権力を奪おうとするのである。
もし慶喜に天下をとらせるならば、若き日にそのチャンスがあったと作者はみているのだろう。それもただ単に将軍の座を手に入れればよいというのではなく、諸外国との通商条約を結ぶ前に新しい政治のプランを練るべきであったという作者の考え方が反映されている。上に書き出した登場人物も何の脈絡もなく出てきてるのではなく、うまくつながりを持たせて配している。
文中にさりげなくしのびこませている歴史改変後の様子から、ちゃんと見通しをもっていることもわかる。これはごくオーソドックスな架空戦記なのであるが、このあたりが架空戦記の水準でなくてはならないと私は思っている。できればこのシリーズはもう少し書き綴って新政府の様子も描いてほしかった。
(1998年5月23日読了)