「東の太陽、西の鷲 3」の続刊。
ドイツからまわしてもらったイギリスの「プリンス・オブ・ウェールズ」などを参加に組み入れた帝国連合艦隊は、飛行船からの爆撃など新兵器の力もあり、真珠湾を奇襲。アメリカに大打撃を与える。
一方、日独伊と連盟していたソ連がアメリカと接近して連合国側にまわり、領土をドイツに占領されてオーストラリアに逃げていたイギリスがドイツと接近して枢軸国にはいるなど、連行の組み替えが行われ、戦局は混沌としてくる。
ちょっと、敵を憎々しげに描き過ぎではないかと思う。これでは戦略戦術を楽しむよりも、「日本が勝って気持ちいいなあ!」という読後感の方が強くなる。私でさえ読んで胸がスーッとしたくらいなんだもの。作者に筆力がそれだけの効果を出せるともいえるのだけれど、なんだか危険だ。
とくに、敵味方の色をはっきりつけ過ぎているのはいかがなものか。戦争というものはそう単純に正邪を割り切ることができないと思うのだ。
(1998年6月13日読了)