「空蝉挽歌 弐」の続刊。「暗夜鬼譚」シリーズでは11冊目になる。
黄泉から帰還した陰陽生・一条と信頼していた人物に裏切られた若き蔵人・夏樹が龍馬に乗って平安京を騒がせる魔人の正体を探るエピソードである。夏樹が信頼していた久継という貴族が魔人の正体なのだ。自分で目撃しながらそれを否定したがってうじうじする夏樹。ええい、うっとおしい。で、この二人が久継の所在を求めて太宰府へ旅立つ。なんだなんだ、話が終わっていないぞ。まだ続きがあるのか。うーん、つまり、そのうじうじだけで1冊を埋めている塩梅なのですねえ。
龍馬に乗った久継が左大臣邸で大暴れするシーンとか、そこそこ見せ場もあるんだけれど。しかし、これで1冊はきびしい。2章ぐらいで片付くのではないかなあ。こういう引き延ばしはやめて本巻で決着をつけてほしかった。
ところで、著者あとがきで熱が出てしんどかったので本書は薄くなったとかなんとか書いている。そんなことを書くのははしたないことのように思う。少なくともプロがそんないいわけがましいことを書くべきではない。
(1998年6月17日読了)