読書感想文


時空の覇王 3 北条殲滅行
戦国放浪者信長NOBUNAGA
近衛龍春著
KKベストセラーズ ワニ・ノベルス
1998年2月15日第1刷
定価857円

 「時空の覇王 2 清洲密謀行」の続刊。
 未来からやってきて信長を助け、歴史を変えた男、茂利。どうやら彼は23世紀において何やらよからぬことを企む謎の団体の計画のもとに動いているようだ。その団体は政府とは別の権力を握っているらしい。警察は茂利の歴史改変を阻止せんと、なぜか実戦経験のない捜査官を送り込む。これも影の団体がそうさせたということ。しかし、女性捜査官が森蘭丸の虜囚となり、他の男性捜査官は23世紀に逃げ帰り、警察の作戦は失敗に終わる。信長は北条を滅ぼし、影の団体の計算以上に歴史を改変、果たして彼らは信長に対してどう出るか……。
 なぜ歴史改変をするのかというところでその影の団体が登場するのだが、そのはっきりした正体などは次巻以降。この計画と同時に未来の歴史にも介入するらしい。つまり、彼らは過去と未来の両方の歴史改変をしようとしているというわけだ。では、現在の持つ意味はなにか。そこんとこを追求していけばバカSFかもしれないけれど、なかなか壮大なホラ話になるだろう。が、これはやはり架空戦記だ。そんなものを追求はしない。もったいないことだ。SFとしてどのようにでも料理できる素材をただの小道具でしか使わないというのは。

(1998年6月18日読了)


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