「思慕回廊の幻」の続刊。
ヴァーチャル・ゲームのモニターをしている静馬くんは現実世界では高校の剣道部員だったりする。で、剣道の試合の描写なんかが出てきたりする。ところが、それがゲーム世界での彼の言動に影響していないし、ゲーム世界で起きたことが彼の現実の生活に反映しているというわけでもない。もう少しなんとかならんものかと思う。
さて、ゲーム世界では妖怪に迫られる静馬くんであったりする。この妖怪・蘇方がかつて思慕した娘の生まれ変わりだと信じ込まれているという設定になっているからだ。そのいきさつとかをきいた静馬くんは同情したりなんかする。そして、ゲームをクリアするためのアイテムを手に入れるために蘇方を囮にするのだが、結局見ていられなくて助けにいってしまったりするのである。いや、それがいかんというのではないのです。だけど、こういう展開は苦手なのだ、私は。こうストレートに青春されると、読んでいて背筋がかゆくなるような気恥ずかしさを覚えるのだ。
この、なんですね。少年の成長物語というには甘っちょろすぎやしないかなあ。もう少しハードルが高くないと、成長の度合いもたいしたことないと思うのだけれど。
(1998年6月19日読了)