読書感想文


バトル・オブ・ジャパン4 遥かなるガダルカナル
青山智樹著
KKベストセラーズ ワニノベルス
1998年2月15日第1刷
定価800円

 「バトル・オブ・ジャパン3」の続刊。
 ヒトラー大統領が支配するアメリカ合衆国は日本の本土への奇襲で戦端を開く。それに対し反撃する日本。ここで作者は米国と日本の立場を逆転させることにより、太平洋戦争の本質を読み直そうとしているようだ。
 日米の機動部隊決戦は、日本空軍がガダルカナル島に攻撃を仕掛けるという展開になる。ここも史実とは逆転している。
 戦争の原因は人種や民族の違いを乗り越えられないところにある。それが全てではないが、そういう側面があることは間違いあるまい。このシリーズでは歴史の設定を変えることによってその側面を際立たせている。ヒトラー大統領の甥が民族や人種を越えて平和に過ごす世界の夢を見るというシーンがある。その夢は甥が日本の戦闘機と戦って水面に不時着し意識を失ってる間に見たものなのだ。これなどそのテーマを読者にはっきりと提示しているといっていいだろう。
 ところで、ヒトラー大統領が若きレナード・バーンスタインとニューヨーク・フィルハーモニックがワーグナーを演奏しているのを喜んで聴いている場面がある。これなど史実でカラヤンがナチにはいってベルリン・フィルの指揮者に抜擢されたことの裏表として出しているのだろう。個人的にはワーグナーではなくマーラーを聴いたりしたらもっと皮肉っぽくなると思うのだけれど。まあ、これはクラシックファンのたわごと、であります。そこまで要求してはいけないね。

(1998年6月20日読了)


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