「明天快晴」に続くシリーズ第2巻。といっても、それぞれは独立したエピソードなので、こちらだけ読んでも大丈夫。というのも、1巻目は書店では手に入りにくくなっているから。面白いのになあ。
中国は南宋時代が舞台となっている。
人気役者が何者かにつけねらわれ、主人公の書生、子玉の家に逃げ込む。実は、塩の密売商人たちは、その役者が彼らの取り引きを妨害していると誤解し、ゲロをはかそうとねらっていたのだ。
子玉の相棒(?)、巧娘がその役者の大ファンだったからたまらない。騒ぎは劇団から警察、軍にまで広がっていく。
登場人物がみんなどこか欠落したような愛すべき人間ばかり。だから面白いのだ。人間という生き物を暖かく観察する作者の視点が感じられる。だから、どことなく、のんびりほのぼのとしてくるのだ。このユーモアセンス、悪くない。むろん、中国史をしっかりとおさえていて、風俗などの描写などしっかりした考証をしてある。その基盤があるから、話に奥行きが出てくるというものだ。
次巻も楽しみ。
(1998年6月27日読了)