「クラック・ウィング」の中追貴六という作家は、実はこちらの名義でデビューした人だったのですね(ともに「なかおい きむ」と読む)。ちょいと関心を持ったのでこちらの方も読んでみることにしました。
退魔破妖を行う、ウィアードハンター・虎紅と剣は400年後から時空をこえてやって来た魔導犯罪者マシーナと戦う。マシーナを追って未来からやって来たのは虎紅の子孫と思われるキャナリーなる美少女。彼ら3人はマシーナが探す魔法の書のありかを追ってキリスト教系の女子校へ。そこにその書が封じ込まれているのだ。
学院はマシーナの手によって淫らな空気が吹き荒れ、女教師やシスター、女生徒たちが互いを犯しあうようになってしまっていた。
そうなる必然性は物語の上ではないわけだけれど、「ナポレオン文庫」の場合、あくまでHが売り物なのだから、多少ムリがあっても犯しあわなければならんのです。
それはそれとして、全体はまっとうなサイキックアクション。というか、「クラック・ウィング」よりおもろいぞ。興味のある方は探してみては。全体の構成やラストの決め方など、ちょっと矛盾もあるけれどかなり工夫している。
この人、大化けすると意外といいとこまでいくんじゃないだろうか。
(1998年6月27日読了)