「修羅の艦隊2太平洋三正面作戦」の続刊。
ガダルカナル島での死闘を中心として展開される。史実では陸軍はガ島に戦力の逐次投入という真似をして墓穴を掘ったのだが、ここではガ島に伊藤軍令部長が視察にきて戦艦大和と武蔵を投入することでガ島攻防戦を勝ち取るということになっている。伊藤部長が兵士の様子を見て2大巨艦の出動をきめる場面、そして、それを大本営で討議し説得していくところなどが今回の目玉だろう。
大和と武蔵の米軍飛行場への艦砲射撃のシーンで、さくしゃは興奮して突撃した日本兵がまきぞえをくらうシーンを入れる。このような描写の積み重ねは、いいねえ。それから、軍令部長が視察すると聞いて陸軍参謀が傷病兵を見せまいと隠す姿などは官僚的事なかれ主義の愚かさをよく描いている。上手い下手は別にして、このような場面は効果をあげていると思うし痛快ですらある。ただ、描き方がなんだかあざといという感じはある。
冒頭、主人公の若者たちが中等野球(現在の高校野球)の地方大会に出場するシーンや全日本野球チームの沢村投手が大リーグ相手に好投するシーンがでてくる。これは物語に彩りというか奥行きというか、そのようなものを与えるために出してきたのだろうが、これまでの巻に彼らが野球選手だったという話は出てこなかったので、なんだか取ってつけたような印象を受けた。また、ラスト近くで召集され戦地にあった沢村投手の投球を受ける場面もある。なぜそんなにうまく沢村と出会えたのか。偶然としても出来過ぎ。これもあざとさを感じるところ。
もっとも、史実では沢村はこの時は巨人軍を解雇されていた上に肩を傷めてアンダーハンドでしか投げられなかったはずなのだ。作者はそのことを知っていてこのシーンを入れたのか、疑問。これはでも、重箱の隅をつつくようなことか。でも、アンダースローの沢村というシーンの方が作者のねらいに合うと思うのだがね。
まあ、なんにせよ、これだけあざとさが目につくというのは、プロの作家としてはまだまだということではないだろうか。
(1998年7月4日読了)