「斎姫異聞」の第2作目。
デビュー作好評につきシリーズ化。ということになるとボルテージが下がりがちなんだけれど、これは違う。主人公の姫宮のカゲである銀髪の少年という、敵とも味方ともつかない存在を登場させ、話に広がりをもたせた。これはなかなかできないことだと思う。
姫宮と義明の今回の敵は、西洋の邪教の悪魔。西洋の悪魔を日本の平安京にもってくるという着想がいい。願いをかなえるかわりに魂をいただくという、日本の神様や鬼にはない考え方に対するカルチャーショックなどがうまく描かれていて面白かった。
シリーズもので1巻ごとに読み切りの場合、いかに新しいアイデアをもってくるかが勝負どころになると思うのだけれど、受賞第2作というプレッシャーのかかるところでこれだけのことができるのだから、たいしたものである。
(1998年7月29日読了)