「皇国の守護者 1 反逆の戦場」と同時発売の続刊。
私はかねてから異世界ファンタジーの世界設定のあいまいさが気になっていたのだが、このシリーズは政治経済全ての設定がすみずみまで考えられている。その点では私の欲求不満を解消してくれる……といいたいところなのだけれど、その設定を逐一説明してしまっているのはいかがなものか。かえって読む側の想像力をそいでしまっているような気がするのだ。難しいものであるねえ。
さて、第2巻の内容だが、殿軍の役割をはたした新城が〈帝国〉の俘虜となり敵国の環境に触れ、内面的な変化をもたらすというところがメインとなっている。
このシリーズは新城が戦いなどを通じて自己を再確認していく物語でもある。その内面の描写など、かなり理屈っぽく読み手によっては敬遠するむきもあるだろうと感じさせる。
そのあたり、もう少し描写を省略してもいいのではないだろうか。全てを書いてしまう必要はなかろう。書きたくなる気持ちはわからないでもないが、省略することによって、かえって強く表現できるということもあるように思うのだ。
(1998年7月31日読了)