読書感想文


神の目の小さな塵 下
ラリー・ニーヴン&ジェリー・パーネル著
池央耿訳
創元SF文庫
1978年4月14日第1刷
1991年9月20日第12刷
定価800円

 「神の目の小さな塵 上」の続き。
 モート人とのコンタクトをはたした人類は、共存か対決かの選択を迫られる。モート人が隠していた重大な秘密が事件の発端から関わっている航海長によって明らかにされ……。
 モート人との共存、モート人が再来するであろう未来での対応など、宿題の多い結末になっており、確かに続編が書かれる必然性はあったのだなあと、続編を読んだ私は思ったのであった。となると、続編もまたなんだか宿題を抱えていてさらなる続編も書かれるかもしない。まさか、映画「最後の猿の惑星」みたいな感じになることはないだろうけれど。
 さて、本書が書かれたのは冷戦まっただ中。人類とモート人の対立軸にはイデオロギーの違いというようなものが感じられる。もちろん、戦争の本質といえる経済摩擦などはきちんとおさえた上での話。これが20年後の続編になると民族紛争を感じさせるようになってくる。そこらあたり、未来SFといえども時代の風には無関係ではいられないのだね。

(1998年8月3日読了)


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