読書感想文


神の目の凱歌 上
ラリー・ニーヴン&ジェリー・パーネル著
酒井昭伸訳
創元SF文庫
1998年7月24日第1刷
定価740円

 「神の目の小さな塵 下」の20年ぶりの続編である。
 モーティーを封じ込めた人類は、モーティーが自分たちの空間にジャンプしてくるたびにこれを破壊している。人類の空間への進出を望むらしいモーティーが、実は新しいジャンプ地点ができる時期が近付いていることを隠していたことに、富豪ベリー閣下たちが気がつき、モーティーとのセカンドコンタクト(というのかな?)がはじまる。
 実は、そのコンタクトまでが長いのだ。外伝的なエピソードは結局全体の流れには有機的につながってこなかったりするし、20年前の話のおさらいみたいな部分もこれでもかこれでもかとしつこいくらいだ。「神の目の小さな塵」を読んだ人は内容を忘れているかもしれないし、本書を先に読む人もいるだろいからという親切な設計なのか? しかし、私はこちらから先に読んだのだけれど、いっそのことあらすじをつけてくれた方がわかりやすいと思ったぞ。
 登場人物の性格や過去はよくわかりましたから、早く話をすすめて下さい、という感じだ。上下2冊はちょいと長過ぎる。下巻だけでもいいんじゃないかと思うくらい。ここまでしつこくしないと、アメリカ人の読者は読んでくれないのだろうか?

(1998年8月1日読了)


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