学校の図書委員になった少女が、ロボットの図書委員長たちとともに、巨大な紙魚や本に落書きをする戦闘員たちをあやつる敵に対し、「図書館戦隊ビブリオン」に変身して戦うというギャグ小説。
これは、図書委員になった者や図書館が好きな者でないわからない感覚のギャグではないかという気がする。「本好きにはこたえられない」という決まり文句は禁句だという話もあるけれど、「本」そのものへの愛着が理解できない人にはあまり意味を持たない小説かもしれない。「機械の耳」でみせた作者独特のユーモア感覚は健在であるし、TVの「戦隊もの」の定石をきちっとふまえてて芸も細かい。いかんせん題材が限定され過ぎていて一般的とは言い難い。うまいし、面白い。自分が面白いと思うことを読者にも面白がらせるように書くというのは難しいことなのだ。
私は、この本、好きです。
でも、この人の資質はもう少し違う方向にあると思っているので、手放しで喜べないという、複雑な心境。
(1998年8月4日読了)